臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 部紹介が終わり、康平は親友の片桐健太(かたぎりけんた)と一緒に学校を出た。電車通学の二人は駅に向かって歩いていた。

 康平と健太は、幼稚園からのくされ縁で趣味や好みも似ている。

 不幸な事に女の子の好みも同じだったようで、中学の時は同時に同じ女の子を好きになってしまった。

 その時二人はお互いに気を遣って何もしないでいたが、そのうち彼女は別の男子と付き合ってしまったという苦い経験がある。


 駅に着き、電車に乗りながら健太が口を開く。

「康平、お前部活どうする?」

「まだ決めてねえけど、部活しないかもしんねえし、……健太こそどうなんだよ?」

「俺もまだ決めてないよ。ただボクシング部のマネージャー達はみんな可愛かったな」

「……そうだな」


 電車から降りた二人は、自宅近くの古本屋で立ち読みをした後、それぞれ家に帰っていった。

 夜、康平は布団の中に入る。そしてボクシング部の部紹介、特にマネージャー達を思い出していた。

(ボクシングってモテるのかな?)
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