臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
 白鳥の叔父さんは、入口にいる奥さんらしい人に急かされ、急いでレジに向かっていった。


 有馬が二人に話す。

「俺がお前らをここに誘ったのは、白鳥の事情を知って欲しくてさ。アイツ、モジモジだろ。このままだと、お前らも知らないで三年間終わりそうだったからさ。……迷惑だったか?」


「いや、そんな事ないよ」

 康平に続いて健太が言った。

「そうそう、迷惑なのは有馬が頼んだクリームコロッケくらいなもんだよ」

「しつけぇぞ! 白鳥は、自分の事が話題になるのを嫌がるから、トットとゲーセンに戻ろうぜ」


「白鳥を待たなくていいのかよ? アイツ、俺達がいたから不思議がってるぜ」

 康平に訊かれて有馬は言った。

「構わねぇよ。明日白鳥に聞かれたら、ここのクリームコロッケが食べたかったって言えばいいしさ」


「どっちがしつけぇんだよ、まったく!」

 健太が飽きれ顔になった。

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