臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
戦意喪失
 月曜日、二人の大学生を交えての練習が始まった。

 色の白い山本(賢治)は、背は低いが鋭い目付きとガッシリした体型で、いかにも格闘技をしているイメージがある。

 ノースリーブのTシャツから出ている筋肉の隆起した太い腕を見ると、対戦相手を憂鬱な気分にさせそうだ。


 色が黒い内海(俊也)は、格闘技よりもサマースポーツが似合いそうな感じの人だ。

 山本より背が高くてスリムだが、肩甲骨あたりから肩にかけて盛り上がっている筋肉は、Tシャツ越しからでもよく分かる。


 シャドーボクシングからこの日の練習は始まった。


 二人のシャドーボクシングは、ゆっくりだがスムーズな動きだ。一つ一つの動作は、何度も実戦で使ってきたような感じがある。


 時折打つパンチは肩や腰のキレで打つようで、楽な感じで出しているのだがこれがまた速い。

 そしてその打つパンチが全くブレないので、パンチのパワーは全て拳に集中してるようだ。

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