トキトメ
「気がつきましたか?」

 そこに現れたのは、白衣姿の女性だった。

「私は、産婦人科医の塚田美紀と言います」

「産婦人科?」

 どうして私が産婦人科に?

「隆志にあなたのような美人の彼女がいるとは知りませんでした」

「姉さん、夕べも言っただろ。彼女は同じ会社の人で、彼女じゃないって」

 塚田さんが、いつもは見せない姿で焦っていた。

「お姉さんって、塚田さんの、お姉さんなんですか?」

「そうよ。ここは父が経営する総合病院」

「塚田さんのお身内の方がお医者様だなんて、全然知りませんでした」

「それはいいとして、あなた貧血がひどいの。このまましばらく入院してもらえるかしら?」

「そんなにひどいんですか? 最近よくめまいがして、気分が悪いとは思っていたんですけど」

「治療しないと、お腹の赤ちゃんにも影響が出るわ」

「赤ちゃん・・・て、私、妊娠してるんですか?」

 妊娠? 

 この私が?



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