トキトメ
 それから今の会社に就職して、律ちゃんと出会った。

 最初はリーダーというくらいだから、厳しくて近寄りがたい存在なのかなと思っていた。

 ところが、いい意味で抜けたところがある。

 もちろん仕事には厳しい人だけど、先輩達との雑談の合間には、時々噴出してしまいそうな天然さを出す事があって、俺より年上だけど、可愛い人だと思った。

 それから、会社でいつも彼女を目にし、自分の気持ちが高まっている事に気が付いた。

 俺は、彼女が好きだ、と。

 歓迎会の日、チャンスは訪れた。

 俺の隣の席は、遅れて来る彼女の為にキープされ、そこに彼女が座った。

 隣の席で一緒に過ごせるなんて夢のようだったから、舞い上がりそうになる自分の気持ちを抑えるのに必死だった。

 それから、俺のアパートに連れて行ったのも計画通り。

 このチャンスを逃したら、彼女とはいつまで経っても上司と部下の関係のままに違いない。

 その関係を壊す為に、俺は強引な賭けに出た。


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