彼の言葉は。



あたしは迷いがあるまま、沈黙に耐えられず口を開いた。


「あの、ね」

「うん」

なんだろう。


言いたいことはたくさんあるはずなのに。


なんて伝えればいいかわからない。



─だけど、伝えなきゃ。



「あたしはね…?
待ってたよ。三年間。
最初は忘れようとしたけど、やっぱり好きだったよ」

そう言ってから深く深呼吸する。



「でもね…
でも、あたし重荷にはなりたくないから。
三年前みたいになんの役にもたてなくなるのは嫌だから。


……今聞いたこと、忘れてくれて構わないよ」



…本格的に泣けてきた。


どうしよう。


これじゃあ、また迷惑かけてる。


自分最悪だ…っ。



そうおもいながらも涙としゃっくりは止まることを知らない。


「ご、ヒック、ごめんね。

こ…んなつもりじゃ…ヒック、なかったのにな」


こんなあたしに呆れてるだろうな、と思うと怖くて前が見れない。



それにあたし、今ひどい顔してる。




それからしばらく、あたしたちには沈黙が流れ、聞こえるのはあたしのしゃっくりだけ。


涙は、まだ止まらない。



そんなとき、
「そんなに泣くなよ…」
と彼が呟いてあたしの頬に触れる。


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