「異世界ファンタジーで15+1のお題」五
「僕の身体の異変を知った母さんは、僕をそんな身体にしたのは自分だと言って泣きじゃくった。
おかしな身体に産んで申し訳ないと、床を叩き声を上げて……まるで狂ったように母さんは僕に詫び続けた。
僕は母さんを責めるつもりなんか少しもなかったから、ただ戸惑うばかりで何と言えば良いのかさえわからず、ただ見守ることしか出来なくて……
その日を境に、母さんは別人のように変わってしまった。
家に閉じ篭もり、食事もせずに暗い部屋で泣いてばかりいた。
しばらくは隠してたけど、母さんはどんどんおかしくなるしやがて僕の身体のことも村の人にバレて……

狭い村のことだ。
ニュースはすぐに広がるんだ。
僕は、この先、どんなことが起きるのか想像しながら覚悟もしてた。
村八分くらいならまだ良いけど、村を追い出されたら僕らはどこに行けば良いのか…
そんなことばかり考えた。
なのに、村の人達は僕を気味悪がるどころか親身になって心配してくれたんだ。
祈祷師の所に行ったらどうかとか、大きな町の病院なら治す薬があるんじゃないかとかいろんなことを助言してくれた。
僕は自分の身体のことや母さんのことで不安にはなっていたけど……でも、皆がそんな風に応援してくれたから、とても支えられたよ。
こんな身体でも、皆がいてくれたらきっとなんとかなる、大丈夫なんだって……大きな勇気をもらえたんだ。」

「……良い人ばかりなんだね。
君の育った村は……」

僕はアズロの問いには何も答えず、ただ曖昧に微笑んだ。



そう…その頃はそう思ってた。
だから、僕も村の皆を信頼しきっていた。
まるで家族みたいに想ってたんだ…


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