わたしのミカタ
シーン5 翌日
   携帯電話のアラームが鳴る。部屋には多枝だけが取り残されている。
   多枝、アラームをきり携帯電話を閉じる。
   深呼吸をし、すぐさま携帯電話を開き、電話をかける。

多枝 「・・・もしもしハルちゃん?」
陽彦 「多枝ちゃん?」
多枝 「うん。遅くにごめんね。寝てた?」
陽彦 「うぅん、大丈夫。」
多枝 「よかった。」
陽彦 「なに?どうしたの?」
多枝 「さっきはメールありがとう。うれしかった。」
陽彦 「ホント!?でもぎりぎりになってごめんね。部活の合宿行っててさ。」
多枝 「うん、知ってる。」
陽彦 「あっ、お土産かって来たから。山中湖だったから信玄餅。」
多枝 「やった、甘いの好き。」
陽彦 「うん、知ってる。」
多枝 「疲れてる?」
陽彦 「うぅん、さっきまでバスで寝てたから。」
多枝 「じゃあどうしようか、明日の映画。」
陽彦 「行ってくれるの!?」
多枝 「誘ってくれたのハルちゃんでしょ。」
陽彦 「そうなんだけど。」
多枝 「どこにいくの。新百合?」
陽彦 「ちょっと遠出しない?ワールドポーターズ。」
多枝 「横浜?いいね、楽しそう。」
陽彦 「この間テレビでやってたんだ。」
多枝 「まめだね。女の子みたい。」
陽彦 「横浜線だから、待ち合わせルミネの改札でいい?」
多枝 「うん。時間は?」
陽彦 「じゃあ11時で。」
多枝 「うん、了解。」
陽彦 「お土産、明日渡すから。」
多枝 「うん。」
陽彦 「・・・」
多枝 「どうかした?」
陽彦 「・・・ううん。楽しみにしてて。」
多枝 「うん。ありがとう。」
陽彦 「それじゃ明日ね。ばいばい。」
多枝 「うん。ばいばい。おやすみ。」

   電話中に部屋のいたるところから
   ミク・カコ・陽彦・滝澤・刑事・部下が登場し、多枝を見守っている。
   多枝、電話を切って一息つく。「ピーンポーン」とドアチャイムが鳴る。

多枝 「誰だろ。はーい。」

   多枝、玄関に向かう。ミク・カコ・陽彦・滝澤・刑事・部下、
   来訪者にまったく見当がつかない。

多枝 「きゃ~!!」

   玄関から多枝の悲鳴。
   驚いているミク・カコ・陽彦・滝澤・刑事・部下の中に多枝が逃げ戻る。
   玄関から幸治が埴輪を持って登場する。

幸治 「いやー、埴輪を野焼きしていたらすっかり遅くなってしまった。」

   幸治、埴輪を多枝に差し出す。

幸治 「どうだろう、僕の卒業制作は。多枝そっくりに作ったんだ。
    これで心置きなく多枝と付き合えるね。
    1日遅れてしまったけど、多枝、誕生日おめでとう!」

   幸治以外の人物達、みんなで頭を抱える。

   完
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