† トータル †
プロローグ~大泥棒・トータル~









『ジリリリリ』



けたたましく鳴る警報システムの音。

周りが赤く染まる。



赤く染まるのは、美術館の絵画コーナー。

飾られているのは、美しい天使の絵。



次の瞬間、その絵が消える。

絵を持って逃げる、2人の少女。



2人とも黒い服に身を包み、耳にはインカム。



「美雨(みう)、準備オッケー?」



1人の少女が胸元についているマイクに向かい言うと、インカムから声がする。



〈オッケーだよ〉

「美雨大丈夫だって、行こう!」

「待ってください。
・・・警備員の足音がします」

「え?めんどくさいことするなぁ」

「この足音は・・・。
あの人ですね!!」

「あの人?
やめてよぉ、あの人大変だよ」

「大丈夫です。
杏奈(あんな)が作ってくれた秘密兵器がありますから」

「そっか!」



少女が頷いたところで、多くの警備員と、スーツに身を包んだ人が現れる。

あの人、とは、スーツの男性のことだ。






< 1 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop