† トータル †
プロローグ~大泥棒・トータル~
『ジリリリリ』
けたたましく鳴る警報システムの音。
周りが赤く染まる。
赤く染まるのは、美術館の絵画コーナー。
飾られているのは、美しい天使の絵。
次の瞬間、その絵が消える。
絵を持って逃げる、2人の少女。
2人とも黒い服に身を包み、耳にはインカム。
「美雨(みう)、準備オッケー?」
1人の少女が胸元についているマイクに向かい言うと、インカムから声がする。
〈オッケーだよ〉
「美雨大丈夫だって、行こう!」
「待ってください。
・・・警備員の足音がします」
「え?めんどくさいことするなぁ」
「この足音は・・・。
あの人ですね!!」
「あの人?
やめてよぉ、あの人大変だよ」
「大丈夫です。
杏奈(あんな)が作ってくれた秘密兵器がありますから」
「そっか!」
少女が頷いたところで、多くの警備員と、スーツに身を包んだ人が現れる。
あの人、とは、スーツの男性のことだ。
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