甘い女と月の男
午前の授業も終わって、お昼ご飯の時間。

うちの学校はほとんどが食堂と言う名のレストランで昼食をとる。

「今日は何にするー?」

「あたしはラザニアよ」

「お決まりのね」

「じゃああたしはハンバーグ」

「じゃ、あたしはグラタンね」

3人それぞれ選んで頼むとほかほかのものが3分ほどで出てくる。

その時。

「きゃぁぁぁぁぁ」

な、何事?!

と思ったら。

「今日も遥希様かっこいいわね」

「いやいや、大和君もいいですわよ」

という女の子の声が聞こえてきた。

あ、ムーンボーイズね。

ていうかなんで今日に限って食堂に来るの?

いつもはあの人たちここにはいないはずなのに。

すると。

「凜華ちゃーん」

え?!

「一緒にお昼ご飯食べなーい?」

郁君が話しかけてきた。

「な、何を言ってるの」

「だぁかぁらぁ、お昼ご飯一緒に食べようよ?ね?いいでしょ?」

郁君は、可愛いからそのキュートスマイルで畳み掛けてくる。

もう……その笑顔で言われたら誰でも断れないんですけど……。

「…、わ、わかった。いいよ」

「やったぁぁ!!」

郁君はとびっきりの笑顔で飛び跳ねた。

その時。

「なぁにあの人たち?図々しいわ」

「郁様はみんなのものなのに」

「独り占めするなんて下衆な女ね」

げ、下衆な女?

は?

あんたにそんなこと言われる筋合いないんですけど。

カチン、ときた私だけれど。

さすがにこんな公の場で罵ることも出来なければ叫ぶこともできない。

すると。

「君たちさ、何言ってるの?」

怜音君の澄んだ声が響いた。

「言いたいことがあるならはっきり目の前で言ってくれないかな?僕、コソコソされるの嫌いなんだよね」

郁君のいつもより真剣な声も聞こえてきた。

そうしたら、女の子たちはあたふたと食堂を出て行った。







< 16 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop