甘い女と月の男
タンタンと赤絨毯の敷かれたらせん階段を降りると、メイドさん達が忙しく動く食卓。

今日も豪勢な食事が並んでいる。

席について、「いただきます」と小声であいさつし食べ始めた。

「お、早いな、凛華」

聞こえた声に後ろを振り向くと、お父さんがいた。

「おはよう、お父さん」

「今日は何時くらいに帰ってくるんだ?」

「うーん、まだわかんないな」

「帰るときは迎えを呼べよ。近頃は物騒な事件も多いからな」

「わかってるって」

時計を見るとそろそろいい時間。

「じゃあ行くね」

「あぁ、いってらっしゃい」

家には、いつもお父さんしかいない。

お母さんは有名なウェディングプランナーで世界中を飛び回ってる。

あたしもいつかお母さんのウェディングプロデュースで結婚式したいな。
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