暴走族に恋した私
「仕方がないんだよね。」
朔がどんなに優しい人でも仕方がない。
朔は味方じゃない。
『今日は味方だけど、明日は敵なんだよ。』そう、言っていた。
「俺が守ってやる。」
「………?」
「なぁ、俺のとこに来い。」
朔の強い目に何を言われて、何を考えていたのか分からなくなる。
「王龍の姫は責任が重い、あいつらはトップで喧嘩も多い。」
「俺がそれをなくしてやる、お前を守ってやる。」
朔の握る手が強くなる。
「心配もさせない、危険なこともさせない、俺が街をまとめて…ここを一つにする。」
「そうすれば喧嘩も少なくなる、絶対幸せにしてやる。」
この場に冷たい風が入り込む。
きっぱりと言い切る朔の姿がすこしだけ眩しく見えた。