暴走族に恋した私
「よかった、怪我がなくて。」
巴が目に涙を浮かべている。
そんな姿を見て、胸が苦しくなった。
「ありがとうね。」
巴はその言葉を聞いて、嬉しそうにはにかんだ。
「それより安全なところに移動しなくちゃ。」
「仁から頼まれてたの。」そう付け加える。
巴が私の腕をひぱった。
けど、私の体は動かない。
ここから逃げるのは簡単だけど、痛いことから目を背けるのは簡単だけど。
本当は今すぐここから逃げ出したいけど。