暴走族に恋した私
息が苦しい。
苦しい、上手く息が出来ない。
「ゆっくりで良い。」
仁はそんな私を見て、優しい声で慰めながら抱きしめてくれた。
背中を摩ってくれる。
仁に寄りかかりながら、呼吸を整える。
温かくて大きい仁の手が心地よくて、落ち着いてきた。
「ゆっくり、ゆっくり、俺は側に居るから大丈夫。」
仁が力を込めて、抱きしめてくれた。
私は答えるように、仁の背中に腕を回して抱く。
仁の腕の中は、安心する。
「寝てもいいからな。」
私は、その言葉に静かに頷いた。
緊張が解けて、ドッと疲れた。
私は目を閉じて、ゆっくりと意識を手放していった。