暴走族に恋した私
「私って、性格悪いな・・・。」
私は、真崎のいなくなった廊下で小さく呟いた。
あんな子を妬む私なんて、漫画や小説でいう悪役なんだろうな。
世間から見れば、悪女。
真っ黒な心の自分が嫌い、こんな感情なくなればいいのに。
いっそ、恋なんてしなければよかった。
けど―――
『俺は由奈のこと』
あの続きは何?
期待なんかしちゃいけないのに、期待しちゃうよ。
もう好きじゃなくなるなんてきっと無理だよ、自分でも驚くくらいに好きなんだよ。
私は、服をキュッと掴んで決心する。
仁があの子のことが好きでも、私に出来ることは頑張りたい。
ここで、諦めて後悔なんてしたくないもの。
私は俯いた顔をあげて、皆がいると思われる屋上に向かった。
欲張りだけど、仁の横にいたい。