甘受
タイトル未編集
香水の香りがした。

私が使わない柑橘系の香り。

眞樹のシャツに、もう一度顔を寄せて、言い知れぬ恐怖に捕らわれた。

微かにだが、自分が使う物とは違う香りが感じられたからだ。

撒かれた猜疑心の種が発芽しまいように、私はゆっくりと深呼吸してから、洗濯機の隣に並ぶ鏡を覗き込む。

写り込む自分を見詰めて小さく微笑んだ。

勘違い。

そう、何度も意識に刷り込む。

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