神様の憂鬱
「誰としゃべっているの?」

顔をしかめながら聞いてくる。

「べつに」

呟いて、心の中だけでその先はとどめる。

きみがさっきからお祈りを捧げている弁財天様だよ、というのは。

「もういいの?」

「ええ。もういいの」

少しさびしげに彼女が言った。

「じゃ、帰る?」

「わたしは帰るけど――」

呟いて、

「あなたは?」

と続ける。

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