神様の憂鬱
「ボク? 紗良奈が帰るんならボクも帰るよ」

「どこへ?」

「どこって、紗良奈の家」

「やっぱりね」

軽く肩をすくめる。

「自分の家には帰らないの?」

歩き出して彼女が言うので、あとをついていきながら言った。

「だから、ないんだってば」

「はいはい、そうだったわね」

「そうだよ。そうなの。だから――」

「だから、なに?」

「帰ったら、コーヒーいれてね?」

「はいはい、わかりました」

そんな会話を交わしていると、空の上から声が降ってきた。

『頑張ってくださいませね』と。

< 125 / 200 >

この作品をシェア

pagetop