神様の憂鬱
「あの、神様」

おずおずと彼女が呟いた。

「ん、なぁに紗良奈?」

笑顔で答えてやる。

「願い事――

叶えてもらえますか?」

「ん、いいよ。ただ」

「ただ、なんですか?」

不安そうに彼女が聞いてくる。

だからボクはたっぷり時間を置いてから、威厳(いげん)のある声で呟いた。

「全てを、話してくれるのなら」

「全て――」

ぽつりと呟き数秒後、

彼女が頷いた。

やっぱり、左目から涙を零(こぼ)しながら。


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