神様の憂鬱

許される範囲……?

「ある人を探してほしいんです」

震える声で紗良奈が続ける。

「その人は昔、わたしの恋人でした。

一緒に暮らしていて、将来は結婚の約束もしてました。

でも、ある日彼がいなくなってしまったんです。

だから彼を探してください」

「どうして、いなくなってしまったの?」

優しく彼女に訊ねる。

「それは――」

言いづらそうに口ごもり、悲しそうにあとを続けた。

「わたしが悪いんです」と。

「どうして?」

ボクは、我慢強く彼女の言葉を待った。

彼女が固く瞼を閉じた。

両目から、涙が洪水のように流れ落ちる。

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