神様の憂鬱
男は一瞬、驚いたように瞬(まばた)きをし、キョロキョロと辺りを見渡した。

けれど、探し物が見つからないことがわかると、

少し口元をほころばせ、空を見上げて囁(ささや)いた。

「もうとっくに許しているよ。

だって――

――僕は君の事が大好きだったから」

紗良奈の口から嗚咽(おえつ)が漏れた。

泣き崩れてしまった彼女を連れて、ボクはその場をあとにした。


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