♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~
「ひ、ひゃい?」

「ハルちゃん、そんな所でまた、ぼけーっとしちゃって。

大変!大変だよ!また、僕がうたた寝している間に、吸血奇術師(マジカルヴァンパイア)の奴が、こんな挑戦状を…」

それを聞いて、ヴァンパイア礼士に、へにゃへにゃにされていた春子は、両手でほおをパシッと叩いて立ち上がり、

「見せて。」

と、自分の名前を呼びかける主からその挑戦状を受け取った。


-親愛なる乙女座、そして安宮礼士へ。

今回もまた、なかなか楽しめる仕掛けを思い付いた。題材は、お前達の記憶にもまだ新しいあの事件。

三日前の美術の時間に起きたあの事件だ。

そして、あの少女達は、本日から二日後に復讐をすると言っていたね。

そこでだが、お前達も知っての通り、俺様は楽しい事が大好きだ。

俺様は今回、この少女達のお手伝いをしてやろうと思って、彼女達の計画に少し隠し味を加えてみた。

だが、その隠し味の価値が解る人間は、復讐計画を企てている部外者でないと解らないのだ。

企みが成功したとしても、あくまで自分達だけの力によるものと思われかねないからね。

そこでお前達の出番だ。この俺様の奇術的トリックを用いたお手伝いを、見事阻止出来るかな。

いつも通り、ヒントは与えておこう。それによって、このトリックを看破してもらえれば、それはそれでそのトリックの面白さが解って頂けるとは思うし、看破出来なければ尚更、自分達の目の前で図々しくトリックが実行され唖然とする様を見る事が出来て楽しい。

〈ヒント〉
今回のトリックは、お前達の考えたトランプマジック、『怪盗クイーンを追え!』をもとに、俺様がアレンジを加えてみた。
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