恋愛応援部

1

風紀委員とは名ばかりの仕事もしない奴ら。
そんな言葉が先生達の間に広がったのは今にはじまったことではない。
勘月が風紀委員になる前からづっとそうだった。
だから今も変わらずそうなのだ。

僕が廊下の隅から何やら覗き込む。それを後ろで見ていた誰かが僕の背中をポンと叩いた。
「何だ!?」
僕は思わず声をあげ後ろを振り向くとそれは柳であった。
「なーに?吹喜ちゃんがどうかした?」
「柳!何するんだお前は!!」
僕は怒りに心をそめながらも小さめの声で柳につぶやいた。
「又霧さんにばれれば何と思われるか……」
「いいじゃん!俺が話つけて来てやるよ、だってさー俺らは恋愛を応援し合う仲だろう?」
そんな理屈を並べ僕が止めるのにもかかわらず柳は又霧さんの前に出て行った。
「あ、柳くん……どしたの?」
「いやー話したいって言う奴がいてさー良い?」
「え、別にいいけど……」
優しい又霧さんはきっとokしたのだろう、柳は手招きで僕を呼んだ。
「あ、はじめまして!僕は日崎叶莉です……」
緊張しながらだったもので技とらしい一言になってしまった。
僕は半身駄目だと思っているが緊張はほぐれることもない
「宜しくね私、又霧 吹喜」
又霧さんが笑顔で右手を差し出してきた。
僕は握手するべきか困って、と言うより恥ずかしくてしかたない。
必死の覚悟で手を握るが強く握りすぎて又霧さんは痛そうであった。
「ほらさー見た目からして固い奴だからー」
「でも成績優秀だし、すごいよー」
「いやいや……又霧さんの方がスゴイと思うよ……」
僕はとぎれとぎれに言葉を出すことしかできない。
むずむずとした気持ちが心の奥で交差するのだ。
「ふふ、そうかな?嬉しい!」
笑顔でそう答える又霧さんは僕ビジョンで一般の人の何倍も輝いて見えるのだ。
デレデレと僕が話していると奥から威槙くんが出てきた。

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