恋愛応援部

2

「あ、いまッキーじゃん」
「そ……その呼び方止めてくれよ……」
威槙くんはひ弱な性格でもあったからけっこういじられキャラなのである。
「それじゃあ、私部活があるから」
又霧さんは手を振って廊下を早歩きしていった。
ドン!又霧さんが壁にぶつかってしまった。
「痛たた、じゃーねー」
でもそんなドジの所も僕のタイプであった。
いや……そういう変態チックな意味じゃなく……可愛らしいなーとか……。
「それにしてもまさか勘月が恋してるとわなー」
「え?してるいんだ……」
「らしいね」
僕らは勘月さんの話に話題を変えた。
何で恋したんだろう?とか……まぁ男の僕らにはわからないことだろうけど。
「それでその1年って誰なんだろうね?」
威槙くんが疑問をぶつけてきた。
「いやー僕も知らないんだよね」
「俺も―」
柳も僕も勘月さんから詳しい話は聞いてはいなかった。
しかし、恋愛を応援し合うってことは少々のデータを入手できるだろうと、僕たちは無理に聞き出すことはしなかった。
「ん?この携帯……」
柳が薄ピンク色の携帯を拾って暫くそれを見つめていた。
「これ、吹喜のじゃね??」
「え?又霧さんの??」
僕もその携帯を覗き込む。可愛らしいキーホルダーを2、3個つけているシンプルな携帯だった。
「俺届けてくるわー。ひざッキーが言ってもいいけど間違ってたら嫌だろ?」
「う、うん……」
僕はこの時携帯を届けていればと今になって思う。
しかしその時の僕は又霧さんと話すのも緊張したくらいだから、とてもそんな事をできる状況ではなかった。
「んじゃー」
柳は僕と威槙くんに軽く手を振って廊下を走りながら角を曲がった。
「走るんじゃないぞー」
僕が叫ぶがもう柳には聞こえないだろう……。




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