散る頃に咲く花
空の君

部屋に着くと、沖田が酒を飲んでいた。

斎藤は縁側に座り月を見ている。

「沖田様、お酒は、身体によくありませんよ」

青葉は心此処にあらずといった様子で沖田に言う。

「飲まずに、やってられると思う?」

沖田の鋭い目が青葉を射抜く。

「総司、他人に当たるのは、良くない」

斎藤が沖田を窘めた。

振り返った斎藤の頬には、涙の線があった。

「俺も、酒を飲もう」

斎藤は杯に酒を注ぎ、一気に煽る。
< 258 / 338 >

この作品をシェア

pagetop