散る頃に咲く花

あぁ、なる程。

青葉は迷わず店の中に入って行き、店主に声を掛けた。

「旦那はん、もう墨は残ってないんかぇ?急ぎで使いたい思っとったんやけど」

それを沖田が驚いた様子で見ている。

「女の子が来たときのためな、一本だけとっといたんや。それでいいどすやろか?」

「勿論や。おおきに」

やはり、まだあったようね。

店主は墨を一本取り出した。

「これでどうどす?」

「じゃあ、それを」

青葉はお金を払い、出て行こうとした。

「行きますよ」

その時、小声で沖田にも声を掛けたのだった。
< 85 / 338 >

この作品をシェア

pagetop