パズル


ーガラガラ


「おっはよー!皆の諸君!」

『流、うるさいよ。』

「あ、優くんと流くん…と南!おはよー。」


『うん!おはよー。』



優も流もイケメンでスポーツ万能だから学校では有名。


そんな2人といるあたしは、ごく普通の女子高生。


たまに、先輩とかから忠告を受けるけどいじめなんてのはない。



優も流も守ってくれてるみたいだし…。



「ねね、1限目なにー?」


『んー、知らない。』


「まぁなんでもいいんじゃない?」



クラスの女子で固まって喋ってると教室のドアが勢い良く開く。




びっくりしてそっちを見ると3年の信二先輩が立っていた。



「南ちゃん…いる?」


『あ、はい。』



みんなザワザワするなか1人、信二先輩の元へ急ぐ。



あー、きっと顔赤いだろうな。


高1の秋から現在、高2の春までずっと好きだった信二先輩。

なんの用だろう。

なんてのはどうでもよくて、見てるだけのあたしからすれば今のこの状況がすごく嬉しかった。



「話あるんだけど、いいかな?」

『あ、はい!大丈夫です。』



そのまま、信二先輩の後をついていった。

ついたのは、中庭。



「ごめんね?呼び出して。」


『いえいえ!

あの、話って?』



「あのさ、俺ずっと前から南ちゃんのことが好きだったんだ。

付き合ってください。」




え?付き合ってください?


うそ、大好きな先輩からの告白。

『よ、よろしくおねがいします。』


「ほんと?」


下げていた頭を上げてあたしを見つめる先輩。


火照る顔でコクリと頷くと


「よっしゃー!」



と大声をあげて、あたしに触れるだけのキスをした。

恥ずかしくて俯くと


「もしかして、ファーストキスだった?」


と心配そうに聞いてくる先輩が可愛くてファーストキスなんてどーでも良くなった。



『ファーストキスが先輩でよかったです。』



そういうとよろこんでくれた先輩。



幸せなはずなのに、なぜか優の悲しそうな顔が浮かんだ。



なんでだろ…。

でも、きっとよろこんでくれるよね…。


あたしは、長い間ずっと一緒にいた人のことを、何も知らなかった。





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