迷宮ラブトラップ
七月
七月の治療は生憎瑞香の生理と重なった。

それでも良いよと遼也は言った。

瑞香自身も遼也と逢える事が嬉しいので、身体の繋がりはなくても構わなかった。


治療をしながら、やっぱり遼也は瑞香の身体にイタズラをした。
けれど今日は答えられないから、瑞香は必死に堪えていた。

すると遼也は、

「もしこの先、俺がするのがもう無理ってなったらどうする?
プラトニックでも続けて行ける?」

とたずねて来た。
少し考えて瑞香は

「そこにお互いの気持ちがあるのなら、
プラトニックでもいいと思う。」

と答えた。


逆に、瑞香はずっと気になっていたことをたずねた。

「どうして私に手を出したの?」


「ストレスを抱えていそうな子だなって気になったから。自分が力になれるなら、なりたいと思ったし、
身体の関係をを持ったのは、瑞香が自分に好意を持っているのはわかってたから、その方が深い話が出来ると思ったから。」


「じゃあ…
同じように大変そうで遼也さんに好意を持っている子がいたら、これからも遼也さんは手を出すの?」


「…出すよ。」


ショックだった。
最近の遼也は瑞香に少しは想いを寄せてくれている気がしていたのに。
遼也の気持ちは瑞香とは違う気持ちだった。
そして瑞香を目の前にして、平然と他の女性との関係をほのめかす…

瑞香は益々、これから先が見えなくなった。

それでも、例えこの先遼也と離れる事になっても、自分が遼也を支えに生きていけるように、遼也に1つお願いをした。


「お願いがあります。」

「何?」

「金物の指輪をください。」

そう言うだけで精一杯だった。
本当は、右手の薬指に着けると精神を安定させる効果があることや、いつか、遼也があげたいと思ったときにと付け加えたかったのだが、上手く言葉にならなかった。


「買いにいくときもないしな…
でもまあ、考えておくよ。」


考えておく、そう言われただけでも救いだった。

いつなんて言ってくれなくていい。

ただ、遼也の心に留めてもらえただけでも充分だった。


< 25 / 33 >

この作品をシェア

pagetop