志ーこころー 【前編】─完─
門をくぐると、そこは意外にも質素な造りの学舎が広がっていた。
「緒方先生はいらっしゃらんかぁ〜??」
坂本さんが、大声で呼ぶ。
中岡は、そんな坂本さんを軽く一瞥すると、きょろきょろと周りを伺った。
ああ、ほんと、この人と一緒にいると、中岡はおかんになるのね。
一時も目を離せないっていうか、世話が焼けるっていうのか。
それが坂本さんの良いところでもあるんだけどね。
あたしもつられてきょろきょろと様子を覗う。
人は誰もおらず、質素な造りのせいか、まるで空家のような静けさをまとっている。