中距離恋愛
「でも本当、剛と夏帆さんが一緒になるなんて…世の中狭いですよねぇ。葵なんて、美冬ちゃんの家に遊びに行くたびに、¨あんなお姉ちゃんが欲しい¨って言っていたのが、もうすぐ現実になるんですもの」
剛のお母さんが言えば、私のお母さんも続く。

「本当にねぇ。
美冬も葵ちゃん家に遊びに行って、¨葵ちゃんのお兄ちゃん、すごくカッコイイんだよ¨と言っていたので、どんなステキなお兄さんか見てみたかったんです。
まさか夏帆がそのお兄さんを射止めてくるなんて、夢にも思いませんでしたわ」

母親同士の話を聞いて、剛も私も何も言えない。
初対面の父親同士も、お互いの子供を褒め合っているし、美冬と葵ちゃんも久しぶりに会えたらしく、2人で楽しく話をしている。

そんな様子を見て、私は小声で剛に言った。
「葵ちゃんのおかげで、剛のお母さんと上手くやって行けそうで安心したよ」

すると剛も、声を潜めて返してきた。
「…俺も、嫁と姑の間に挟まれなくて済みそうだから良かったよ」

私たちは、クスリと笑い合った。

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