中距離恋愛
でも、そう思っているのは私だけみたいで、左紀は両手に荷物を持って、駐車場を歩いて行く。
そして、ある車の前で足を止めた。

「すごい荷物だなぁ」
そう言いながら、その車の運転席から出てきたのは…大地さん!
そういえば、左紀は今、大地さんが勤めている会社の社員食堂で働いているんだ…

「ごめん夏帆。
さすがにこの荷物、2人では部屋まで運べないと思って、ちょうど帰りに会った早瀬先輩にお願いしちゃった!」
説明する左紀。
その間も大地さんは、私と左紀が持っていた荷物をトランクに積める。

「すみません。ありがとうございます」
私は大地さんに頭を下げた。

「すごいお酒の量だな。
さすがに女性2人では運べないよな。でも、どれだけ飲むんだよ?」
そう聞いてくる大地さんに、
「いや…。2人で飲むわけじゃないですよ。あと2人加わって、これから4人で女子会なんです。
プライベートでも、これから料理を作らなくちゃならないんですよ!」
笑いながら答える左紀。
荷物を積み終わった大地さんは運転席に、私と左紀は勧められるまま後部座席に座った。

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