中距離恋愛
相手も挨拶を返してくれた。
「凛の母親の弟の、小暮翔太です。
凛は寝てるんですね?
姉の勤める病院に連れて行くんですが…。
凛を乗せられるように車の準備をしてくるので、もう少し凛をお願いしてもいいですか」

私は相手を見た。
…その声、その姿…
私の知ってる¨小暮翔太¨だ。

「シートを直すだけですよね?だったら私、凛ちゃんを抱っこして小暮さんの車まで連れて行きますけど」
「えっ、あぁ。そうですか。
じゃあ、よろしくお願いします」
「はい。
あっ。これ、凛ちゃんの荷物です」
「分かりました」

それから私は、凛ちゃんを抱っこして小暮さんのあとについて行った。
小暮さんは車を開けると助手席のシートを倒した。
「すみません先生。
ここに凛を寝かせてもらえますか」
「はい、分かりました」

言われた通り、助手席に凛ちゃんを寝かせた。
その上に、毛布をかけてあげる小暮さん。
そっと助手席のドアを閉めて、私の前に立つ。



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