中距離恋愛
「すみません。お世話になりました」
そう言って頭を下げる小暮さん。

「いいえ。
凛ちゃん、早く熱が下がるといいですね。
えっと。インフルエンザが流行っているので、診察の結果、分かればご連絡ください」
「分かりました。
姉に伝えます」
「……………」
「……………」
「夏帆。
保育士になりたいって言ってた夢、叶ったんだね。おめでとう。
一目見て、すぐに夏帆だって分かったよ」
「…ありがとう…ございます」
「…何か、他人行儀じゃない?
一時は、恋人同士だったのに」
「……………」
「…俺、夏帆にフラれてから、しばらく立ち直れなかったよ。
でも、またこうして会えたなんて運命だよね」
ニッコリ笑顔で言われる。

「…あの、…ごめんなさい。
私、今、彼氏います」
小暮さんに期待を持たせないように、しっかりと断った。
でも…
「夏帆に彼氏がいたって関係ないよ。
俺は、まだ、夏帆が好きだから」
逆にハッキリ言われてしまった…


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