中距離恋愛
それぞれの年齢に合わせて、それぞれの遊びをしている。
食事や生活リズムも、それぞれに合わせるので、平日の通常保育よりも大変なところがある。
それでもたまに、ミルクを飲ませたり、おむつを替えたり…と、いつもと違うことが経験できて、勉強にもなる。

8時から勤務の私は、5時には上がれる。
まだ7名の園児が残っていたけど、遅番の先生に任せて時間で上がった。

いつものように歩いて帰ると、後ろから「夏帆」と呼び止められた。
振り返らなくても分かった。
出来れば会いたくない人。
小暮さんがいた。

「こんにちは。
今日は凛ちゃんのお迎え…ではないですよね」

自分が受けもつクラスの子の親戚と言うことで、無視は出来ず、
…事務的に返事をした。

「凛は今日は義兄さんと家にいるよ」
「……………」
「夏帆、仕事だったんでしょ?
だったら今日は凛が保育園に来てないこと、分かってるでしょ」
「……………」
「夏帆に会いに来たんだよ」
「………っ!?」

距離をとっていたはずなのに、どんどん縮まっていて、気付いたら手首を掴まれていた。

¨やだ…どうしよう…¨


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