中距離恋愛
「…そっか。
それも俺、大地から聞いてた。
で…、どう答えたの?」
「…ごめん。ビックリしちゃって返事してない」
「……………」
「…でもね。ちゃんと断るよ。
だって私は、剛と結婚するんだもん」

「……………」
「……………」
沈黙が怖い…

剛がゆっくり言った。
「…その結婚の話だけどさ。
一度、白紙に戻さないか」

彼の言う言葉の意味を理解するのに、時間がかかった。
理解は出来ても、認めたくはない。

「どうして…?」
やっと私の口から出たのはその疑問。
気付くと涙が頬を伝っている。

「ごめんな夏帆。
泣かないで…」
そう言いながら、剛が親指で涙を拭ってくれる。
そんな剛に、私は抱きついた。
そして、彼の胸に顔を埋めて泣き続ける。
彼は、そんな私の髪をずっと撫でながら、私が落ち着くまで泣かせてくれた。

「…夏帆、大丈夫か?」
一通り泣いたあと、私の体をそっと離し、剛が聞いてきた。

「…大丈夫じゃない!」
私はわがままを言う。

「どうして?
どうして白紙に戻そうなんて言うの?」



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