中距離恋愛
『…やっぱりお前に言ってないんだな』
「…なんのことだ?」
『……………』
「……………」
『俺も、夏帆の友達の左紀から聞いたんだけど。
大学時代の元カレに再会して、そいつにストーカーされているらしい』
「ストーカー?」
『あぁ。
左紀の話だと、園児の親戚で、よく迎えに来るんだと。で、夏帆に迫ってるらしい』
「……………」
『左紀から、夏帆を助けてやってほしいと頼まれたけど…俺が引き受けていいか?』

大地の話は分かった。
俺じゃ夏帆を助けに行けないから、左紀ちゃんは大地に頼んだのだろう。
それも分かる。

でも俺は…
夏帆が何も言ってくれないのが悲しかった。
俺に心配をかけたくないと思ったのだろうけど。
それでも一言、言ってほしかった…

『おーい剛。聞こえてるか?』

フッと我に返ると、電話口で大地に呼ばれてた。

「…ごめん、何?」
『今日、夏帆、仕事みたいだから、帰りに迎えに行くよ。
…一応、お前に断ってからと思って』
「…分かった。
夏帆のこと、よろしく頼むよ」
俺はそう言うと、電話を切った。

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