中距離恋愛
彼の姿が見えなくなると、私は1度、部屋へ戻る。
次の約束まで、まだ時間がある。
また落ち着かない。
結局、最後まで彼に甘えていた気がする。
彼の優しさに応えられなくて申し訳なく思う。
それでも…
私が一緒にいたいのは、これから会う彼の方だと気づいたから。
私はもう、後悔しない。

5時50分。
「ホテルに着いた」と、彼から連絡が入る。
急いで迎えに行き、一緒に部屋に帰ってくる。

部屋に入ると、すぐに抱きしめられる。
「夏帆、会いたかった」
「うん。私も会いたかった」
そう素直に告げる。

そっと体を離して聞かれる。
「¨一緒に泊まる¨と言うことは、俺を選んでくれたと思っていいんだよな」

「うん」と頷くと、すぐに唇が重なる。

久しぶりの彼の温もり。
もう離れたくないと思った。

「夏帆、好きだよ。
愛してる…」
キスの合間に囁かれる。

「私も好き。
もう一度、隣にいてもいいかな?」
そう聞くと、
「当たり前だろ!
ずっと俺の隣にいろ。
もう離さないから…」
そう言って、キツク抱きしめられた。


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