中距離恋愛
心の準備もしていた。
だから…

大地さんに
「なぁ夏帆。キス、してもいいか?」
と聞かれて、すぐに頷いた。

大地さんの手が、私の頬に触れる。
すっと上を向かされ、静かに瞳を閉じる。
ゆっくりと大地さんが近づいてくる気配がして、私の唇に大地さんの唇がそっと触れた。
ほんの数秒の出来事。
だけど、頬が熱くなってきた。絶対に私、真っ赤になってる。
それを知られたくなくて、大地さんの胸に顔を埋めた。
そのまま抱きしめてくれる大地さん。

「夏帆。絶対に顔を上げるなよ」
「うん。…でも、どうして…」
「あー、わるい!
今の顔、お前に見られたくないんだ。赤くなってて恥ずかしいから見ないでくれ!
しばらくこのままでいてくれ!」

大地さんも私と同じだと分かり、嬉しかった。
ずっとそのままでいたかったけど、そうもいかない。
「寒くなってきたし、そろそろ帰るか」
大地さんにそう言われ、また手を繋いで歩き出した。
お互いに照れてしまい会話はなかったけど、それでも幸せだと感じた。



< 72 / 317 >

この作品をシェア

pagetop