機械人形は、ひとり、語る。(短編)
その存在そのものが、人間達の残した、最後のメッセージさ。
きっと。
僕らは早く、死に絶えるべきなんだ。
本当は。
だから、戦いを止めることができないのかもしれない。
僕らが戦争でつぶしあって、絶滅したその後の世界で。
少女は何も知らずに、いつもと変わらない日常を送り続けるだろう。
ラベンダーの香りにつつまれながら。
美しく微笑むのだろう。
そう。
この世界のどこかに隠された、最後の。

「…ユートピア」
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