機械人形は、ひとり、語る。(短編)
覚醒2
空間のひずみに迷い込んだ、その少年は、長くはもたなかったわ。
私は、どうしていいかわからずに、ただじっとみつめてた。
背中には、人間達が憧れた真っ白な翼が、にせものの、赤い血に汚されてる。
ばちり、ばちりと、ちいさな雷が彼の体を包んで。
私は、触れる事もできない。
ただ、なぜか私の心はせつなくて。
どうしようもなくて。
せめて、このラベンダーの香りで、少しは、安らかに眠れるんじゃないか、なんて、あさはかな私は…。
私は…。



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