機械人形は、ひとり、語る。(短編)
透き通る水面に、そおっと自分の姿を映した。
これが、私。
私は、だれ?
私は、エリー。
エリーって、だれ?
「エリー」は、とっくに、…死んだのよ。
お母様の、子宮の中で。
私は、偽物。
「エリー」に与えられるはずだった愛情を、ただ一身に受けて。
ただひとり、残された。
なんて、みじめで、孤独な、機械人形。

水面に映る、私の側には、一輪の睡蓮が、鮮やかに咲いていた…。


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