CHECKMATE


「で、情報ってのは?」
「相変わらず、せっかちですね、千葉さん」
「勿体ぶらず、言えよ。俺は暇人じゃない」
「あぁ~ハイハイ、そうですよね」

両手を上げ、お手上げのポーズを取る男。
千葉が贔屓にしているタレコミ屋の蜥蜴だ。

昨夜遅くに、千葉に連絡を寄越したのである。

蜥蜴は水を口にすると、一瞬で表情を変えた。

「先日流した情報の続きです
「仙堂に動きがあったのか?」
「動きというほどのものじゃないですが……」
「いいから、話してくれ」

千葉は蜥蜴を鋭い眼光で見据え、次の言葉を静かに待った。

「仙堂が頻繁に出入りしているという噂のクラブですが、そこに、千葉さんが追ってる製薬会社の車が出入りしているらしいです」
「本当か?!」」
「俺の情報網は確かですよ。よくご存知では……?」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべる蜥蜴。
ジャケットの内ポケットから一通の封筒を取り出し、テーブルの上に置いた。

「クラブの名は、Maison(メゾン=家/仏)。知っての通り、元尾島組構成員の板橋の女の店です」
「出入りしているという車両は、社名などがないはずだが、どうやって分かったんだ?」
「そんな事は簡単ですよ。酔ったふりして車に近づけば、車内の積み荷を確認出来ますから」
「………医薬品があったという訳か」

クラブの店先に車は駐車出来ない。

だから、普通は少し離れたところに路駐したり、近場のコインパーキングに駐車する。
刑事が調べようとすると、どうしても雰囲気で分かってしまうことも多々ある為、蜥蜴のような存在は貴重だ。

「サンキュ、いつも悪いな」

千葉がテーブルの上に置かれた封筒をジャケットの内ポケットにしまうと、既に食べ終えている蜥蜴は、爪楊枝を歯間に刺しながら片手を上げ、その場を後にする。

千葉が受け取った封筒は、蜥蜴が常日頃ツケにしている飲食店等の請求書。
情報の対価として、千葉はいつも蜥蜴のツケを支払っているのである。

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