CHECKMATE


「お疲れ様です」
「ご苦労」
「どうですか?」
「ん、バッチリだ」
「良かったぁ。今回は音声も長時間録音出来るタイプに改良したんで、ちょっと不安だったんですよね」

婦人科の相向かいのビルの4階の一室。
テナント募集している物件があったので、そこを押さえていた千葉。

倉賀野が改良した超小型カメラで捉えた画像及び音声が、パソコン5台に映しだされていた。

「よし、じゃあ今日はこれで解散」
「ヨッシャーッ!」
「何だ、猛。今日はこれからデートか?」

週末の早朝という事もあり、剣持は『解散』の言葉に反応した。
それを深読みした千葉は嫌味な言葉を投げかけると、

「そうなんすよねぇ~。久々に週末に時間が取れたんで!」

悪びれる様子もなく、猛は携帯で時間を確認した。

「では、俺はこれで!」
「おぅ、あんまりハメを外すなよ?」
「了~解!お先に失礼しますっ!夏桜さん、また明日~♪
「気を付けて、楽しんで来てね~」

剣持は足取り軽く、その場を後にした。

「では、自分も……」
「ん、お疲れさん。ゆっくり休んでくれ」
「お先に失礼します」

深々と一礼した倉賀野。
そんな律儀な行動に夏桜はクスっと微笑んでいた。

水島と三國、そして神保の3人は休みになっている為、部屋に残ったのは千葉と夏桜の2人きり。

「これから、どうする?」
「ん~……」

夏桜が千葉と生活するようになって、初めて休日らしい休日を迎えた。
本当は仙堂の動きを徹底的に調べたい千葉だったが、夏桜の体調も思わしくない為、のんびり過ごすことを優先したのだ。

久しぶりの休日と言っても、彼女のいない千葉にとって、時間を持て余してしまいそうだ。
更に、夏桜の身柄の安全を最優先で確保しなければならない為、24時間行動を共にしなければならない。
それは、夏桜にとっても一番の問題であった。

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