CHECKMATE
水島は軽く微笑みながら片手を上げ、美穂を真っ直ぐ見つめ安堵の表情を浮かべる。
「遅くなって、ごめんなさい」
「来てくれてありがとう」
「お礼を言うなら私の方だわ」
コートを脱ぎ、水島の右隣りに腰を下ろした美穂。
向い側の席に着かない所は、さすがホステス。
水島との距離をさり気なく、そして、周到に詰めて来た。
けれど、そんな事にも動じず、水島は美穂の指先をそっと掴み、
「指先が冷えてるね。私が温めても構わないかな?」
眼鏡越しに射るような熱い視線を送る水島。
仕事とはいえ、臭すぎる台詞を吐く事に若干違和感を覚えながら、それでも自然に微笑みを浮かべた。
そんな水島のあからさまな態度に気を良くした美穂。
自分からモーションを掛けなくても、絶好のカモが自ら飛び込んで来たのである。
「………お嫌じゃないかしら?」
「まさか、でなければ、わざわざ呼び出したりしないよ」
「…………ホント?」
「あぁ。………部屋を取ってある」
水島のストレートな言葉に、キュッと口角を上げた美穂。
美穂の表情を汲み取り、水島は眼鏡を指先でそっと押し上げた。
そんな2人の前に1人の男が姿を現した。