ある男子高校生の恋愛事情【三井編】
「……痛いか?」
「ううん」
「芽衣子」
「なあに?」
「……ありがと」
「私も、ありがとう」
なぜか、救われた気がした
本当に胸の穴は埋まったのかなんて
そんなの分からない
俺の体から出てきた液体が
もしも真っ黒な感情と混ざって
黒い液体になってたら
とてもじゃないけど
芽衣子の中に残しておけないから
そしたら芽衣子が黒くなってしまうから
どうしようかと思った
でも液体は
ドロドロしてたけど
白かったから
黒くなくて良かったなんて
バカみたいだけど
ホッとした
俺の中の液体が外に出た時
俺の中のあの黒い感情も消えた気がした