泣きたい夜には…~Shingo~
花火の夜の告白


8月、俺とひとみは夏休みに入った。


「疲れたら運転代わるからね~!」


そう言うひとみは昨日まで勤務で、帰って来たのが明け方近く。


それから支度をしたのでほとんど寝ていない。


そのせいか、ややハイテンションなのが気になるところ。


「その気持ちだけ貰っておく。この車、去年買ったばかりだからまだ廃車にしたくない」


ありがたい申し出だが、もちろん却下。


「着いたら起こしてやるから寝てていいぞ」


ひとみのことを考えて、最短で小田厚(小田原厚木道路)で終点の小田原西インターまで行ってターンパイクで箱根を越えて行くことにしよう。


そうルートを決め、車を出した。


「キャー!見て!慎吾、牛!牛がいる!!!!こっちは馬がいるー!!!!」


大興奮で叫ぶひとみに、


「運転中は余所見をしちゃいけないって教習所で教えてもらわなかったか?」


頼む!30分でもいい、寝てくれ!!!!


そう思ったのは言うまでもない。



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