クローバー的恋事情
「悪い、遅れた。もう揃ってる?」


「藤沢さん、お疲れ様です。今、全員揃ったようなので、確認しているところです」


藤沢?


私は聞き覚えのある声と、聞き覚えのある名前に反応して、入り口を見た。


え?嘘?

運命?有り得ない奇跡が起きたかもしれない。

どうしよう。


2ヶ月半前の卒業旅行で出会ったあの藤沢さんがいた。また出会えたら、運命の人だと思っていたけど… まさかのまさかで信じられない。でも、あの顔は絶対にそうだ。

間違いないけど、ちゃんと確認したい。


「ねえ、どうしたの?向こうを見てるけど?」


「あ、ううん。何でもない」


里中さんが不思議な顔をして、覗き込んできたから、慌てて前を向く。とりあえず、今は仕事中だ。後で確認しよう。


「えー、では、これから新人研修を始めます。今年の新入社員はここにいる10人で、教育担当は俺たち3人になります。まず、自己紹介からします」


前に教育係担当の社員が3人並んだ。

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