クローバー的恋事情
「ただいまー」


「お兄ちゃん、おかえりー」


私はいつものごとくお兄ちゃんの帰りを待っていた。お兄ちゃんは残業が多いから私よりも帰りが遅い。疲れているだろうけど、嫌な顔なんてしないで、いつも話を聞いてくれる。


「配属、決まったよ」


「お、どこに?」


話を聞きながら、上着を脱ぎ、ネクタイを外す姿は妹の私が見ても大人の色気を感じる。お兄ちゃん、モテそうだな。


「ねえ、お兄ちゃんって、モテるでしょ?」


「は?葵、話がかなりずれたんだけど。大丈夫か?」


「あ!そうそう、営業部なんだよ、この私がだよ。信じられないでしょ?」


「あはは。葵が営業部?いきなり話をずらすヤツがねー。人に迷惑かけないといいけどね」


お兄ちゃんは的確なアドバイスをくれるけど、厳しい時もある。でも、いつも心配してくれる。社会人になっても心配ばかりかける妹に呆れているかも。



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