夢のような恋だった

「くっ。……それ言われたら、もう言い返せないじゃん」

「ちゃんと俺達の前で誓えよ」


颯くんは、新見さんの肩をぐっと掴んで引き寄せた。
美男美女が並んで、会場の皆がどよめく。

智は負けじと私を引っ張って、颯くんが広げた手のひらに拳を打ち付けるようにしたかと思ったら、すうっと息を吸って、宣言した。


「もう紗優と離れない。一生一緒に生きていくことを誓います」

「よし」


颯くんは満足そうに笑うと、「さっちゃんも誓ってね」と私に笑いかける。


「うん。一生智の傍にいることを誓います」

「よし。じゃあ俺もついでに宣言しよっかねー」

「え?」


颯くんはニンマリと笑うと、さっと膝をついて、お姫様に忠誠を誓う騎士のように新見さんの手をとった。


「二人の幸せにあやかって、俺達も幸せにならないか?」

「は? なによ、ちょっと」

「智がさっちゃんと別れたのは自分のせいだって、お前すげぇ気にしてたじゃん。智と飲むときも合わす顔がないとか言って来ねぇし。……これで肩の荷がおりたろ。一応、待っててやったつもりだけど」

「……ばっかじゃないの」


憎まれ口を叩きながら、赤くなった顔を隠そうとする新見さんはとてもかわいく見えて。

私も智も会場の皆も、ついつい釘付けになって見てしまう。

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