夢のような恋だった

今年のバレンタインの内訳。

甘いモノが苦手なお兄ちゃんには柿の種チョコ(これだけは食べられるっていつもいう)
壱瑳には子供の頃からの好物であるマーブルチョコのビックサイズのやつ。

そして彩治と西崎には、義理チョコとして板チョコ詰め合わせを贈った。


本当は悩んだんだ。

彩治には、夏頃に告白されて断っている。
曲がりなりにも振った女がこんな思わせぶりなことをするのはどうなの? って思ったけど。

彩治は私にとって唯一無二の親友で、無くしたくないし大事にしたい。

だから例年の如く義理チョコを渡す。
それをやめてしまったら、なんだか親友っていう土台が崩れてしまいそうな気がして。


そしてついでに西崎にも。
あんな奴大嫌いなのだけど、確かに世話にはなったわけだし。


家出騒ぎをおこした時、彩治と一緒に私の事探しに来てくれたわけじゃん。
だったら彩治と差をつけるのもどうなの? って思ったし。


部活に行こうとした二人を捕まえて「義理だから」って宣言して渡して逃げた。

その後、二人共何を言ってくるわけでもない。

あ、彩治は「うまかったぞ。サンキュ」って言ってたかな。
 
でも西崎は全然。
礼ぐらい言えよって思う。しっつれー。そんなところが嫌いなんだよ。


日にちが経って、ようやく忘れてきた頃、ホワイトデーがやってくる。


お返しなんていらないからね。

そう思うのに、なんで私の心は落ち着いてくれないのだろう。

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